「フォワードサイクル」と「バックワードサイクル」に特徴的な各関節の動き
前に進む動作、即ち、歩いたり走ったりする動作は、骨盤(および同調する肩)の回転方向で①「フォワードサイクル」と②「バックワードサイクル」の2種類に分類されると捉えていることは、これまでも書いてきました。
(例えば、「競歩の歩き方」と「バックワードサイクル」 http://nordic-walk.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-fb41.html )
そして、これまでは、「フォワードサイクル」と「バックワードサイクル」は以下のような特徴を有していると書いてきました。
【「フォワードサイクル」の特徴】
・骨盤(=脚部)の「前→下→後」の円弧を描く動きの中で、より強く足首を返すことができる⇒「後→下→前」の動きの「バックワードサイクル」と比較して、より強く足首のばねを使って推進力を増すことができる。
【「バックワードサイクル」の特徴】
・骨盤(=脚部)の「上→後→下」の円弧を描く動きの中で、足底面の踵側を下に押すこととなる⇒足底面のつま先側を下に押す「フォワードサイクル」と比較して、より大きな力で地面を押すことができる。
ここでは、これらの「フォワードサイクル」と「バックワードサイクル」の特徴について、4つの関節(股関節、膝関節、足関節、MTP関節(中足趾節間関節))の動きをもとにした歩容(Gait)に着目して考えてみたいと思います。
以下に、それぞれの関節において、「フォワードサイクル」と「バックワードサイクル」の特徴的と捉えられる動きを記述してみました。
【股関節】
・「フォワードサイクル」では、遊脚前期~終期にかけての所謂「腿挙げ」の動きが特徴的。この間の屈曲位において、遊脚前期~中期にかけては屈曲モーメント(求心性)がかかり、その後の遊脚終期~荷重応答期~立脚中期あたりで伸展モーメント(遠心性→求心性)がかかることが特徴的。
・「バックワードサイクル」では、遊脚期の屈曲位においては伸展モーメント(遠心性)、立脚中期~終期にかけて伸展位において伸展モーメント(求心性)がかかることが特徴的。
【膝関節】
・「フォワードサイクル」では、股関節と同様に、遊脚前期~終期にかけての所謂「腿挙げ」の動きが特徴的。この間の屈曲位において、遊脚前期~中期にかけてはほとんどモーメントはかからないが、その後の遊脚終期では屈曲モーメント(求心性)がかかり、荷重応答期~立脚中期にかけてのやや屈曲位で屈曲モーメント(求心性)がかかることが特徴的。
・「バックワードサイクル」では、遊脚期ではほとんどモーメントはかからない。荷重応答期では、やや屈曲位で伸展モーメント(遠心性)がかかり、立脚中期~終期にかけてほぼ伸展位において屈曲モーメント(遠心性)がかかることが特徴的。
【足関節】
・「フォワードサイクル」では、荷重応答期~立脚終期にかけて背屈位~底屈位で底屈モーメント(求心性)がかかることが特徴的。
・「バックワードサイクル」では、荷重応答期~立脚終期にかけて背屈位で底屈モーメント(遠心性)がかかることが特徴的。
【MTP関節】
・「フォワードサイクル」では、荷重応答期で伸展位~立脚終期にかけて屈曲位で屈曲モーメント(求心性)がかかることが特徴的。
・「バックワードサイクル」では、荷重応答期で屈曲位~立脚終期にかけて伸展位で屈曲モーメント(遠心性)がかかることが特徴的。
以上より、それぞれの歩き方に特徴的な動きをまとめると、
・「フォワードサイクル」:股・膝関節:屈曲優位、足関節:底屈優位、MTP関節:伸展位→屈曲位。
・「バックワードサイクル」:股・膝関節:伸展優位、足関節:背屈優位、MTP関節:屈曲位→伸展位。
となると思われます。
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